ガザ南部の病院をイスラエル空爆、28人死亡とハマス発表

パレスチナ・ガザ地区南部ハンユニスのヨーロピアン病院で13日、イスラエル軍の空爆があり、28人が死亡し、数十人が負傷した。イスラム組織ハマスが運営する民間防衛隊の報道官が発表した。
現地の情報筋によると、イスラエルの複数の戦闘機が同時に6発の爆弾を病院に投下。病院の中庭とその周辺に直撃した。
イスラエル軍は、病院の地下にあるとする「指揮統制センターにいるハマスのテロリスト」に対して「精密攻撃」を行ったとしている。
BBCのためガザで取材を続けるフリージャーナリストも空爆で負傷したが、治療を受け容体は安定している。

イスラエル軍の空爆で、ヨーロピアン病院の敷地内には大きなクレーターが複数でき、大型バスなど数台の車両が落ちた。
目撃者によると、イスラエル軍の複数のドローン(無人機)が病院上空を包囲し、救急隊が現場に入るのを妨げたという。
回転翼4枚のドローン1機が、ヨーロッパ病院に近づこうとした民間防衛隊を攻撃し、隊員2人が負傷したと報じられている。
イギリスを拠点とする国際慈善団体「長期的支援による国際災害・緊急援助」(IDEALS)の形成外科医トム・ポトカー氏は、ヨーロピアン病院が空爆を受けた時に院内にいたという。
ポトカー医師はBBC番組「ニュースアワー」に対し、「何の警告もなく」病院が直撃を受け、「6回の大規模な爆発が次々起きた」と語った。
「完全にパニックに陥った」と、医師は付け加えた。
現地の情報筋によると、死傷者はハンユニスのナセル病院に移された。医療チームは対応に苦慮していると報じられている。
医療関係筋や目撃者の話では、ナセル病院の救急部門は13日早朝にも別の攻撃を受けた。
この攻撃で、著名なパレスチナ人フォトジャーナリストのハッサン・エスライフ氏を含む2人が死亡したという。
エスライフ氏が、先の空爆で負ったけがの治療を受けていたところ、ナセル病院の外科棟がドローン攻撃を受けたと、目撃者は語った。
ナセル病院の医師は、エスライフ氏が4月の同施設への空爆を生き延び、それから1カ月近く入院していたことを認めた。
イスラエル軍は以前、2023年10月のハマスによるイスラエル奇襲にエスライフ氏が関与していたと非難していた。4月の空爆では、エスライフ氏の同僚のヘルミ・アル・ファカウィ氏が死亡し、ジャーナリスト数名が負傷した。
イスラエル国防軍(IDF)とイスラエル総保安庁(ISA)は共同声明で、ハマスがガザ地区内の病院を自分たちの活動のために利用「し続けている」と主張した。イスラエルはかねてから、ハマスが病院施設などを活動拠点にしていると主張しているが、ハマスは否定している。
イスラエル・メディアは、今回の空爆の標的は、昨年10月にイスラエル軍に殺害されたハマスの前最高指導者ヤヒヤ・シンワル氏の弟で、ハマス幹部のムハンマド・シンワル氏だったと報じた。
ハマスはこの報道についてコメントしていない。
ムハンマド・シンワル氏は、昨夏のイスラエル軍の攻撃でハマス軍事部門カッサム旅団のモハメド・デイフ司令官が死亡して以降、同旅団を指揮しているとみられる。
イスラエル軍によると、13日夕に、ガザから「2発の飛翔体」が発射されたが、迎撃したという。ガザの武装組織「イスラム聖戦(PIJ)」が、ガザからイスラエルに向けてロケット弾を発射したと主張している。

画像提供, Reuters