車で英リヴァプールのパレードに突入 3児の父親を起訴

重大な傷害罪などで起訴されたポール・ドイル被告
画像説明, 重大な傷害罪などで起訴されたポール・ドイル被告

イギリス・リヴァプールで26日夕、サッカーのイングランド・プレミアリーグで地元チームが優勝したことを祝うパレードの最中に、車が群衆に突っ込んだ事件で、現地検察は29日、車を運転していて現場で逮捕されたポール・ドイル被告(53)を重大な傷害罪などで起訴したと発表した。事件では79人が負傷した。

捜査にあたるマージーサイド警察によると、リヴァプール市内在住の被告は地元の事業経営者で元海兵隊員。複数の悪意ある重大な傷害罪と傷害未遂罪、危険運転罪などで起訴された。

ドイル被告は30日、リヴァプールの裁判所に出廷。検察は、11歳と17歳の子供を含む被害者6人に対する加害行為を起訴事実として陳述し、被告が車を「武器として使用した」と主張した。

ドイル被告はこの日の公判では、自分の誕生日と年齢を確認するにとどまった。罪状認否はリヴァプール刑事法院で8月14日に予定されている。

警察によると、事件では9歳から78歳までの79人が負傷した。

リヴァプール刑事法院に出廷したドイル被告の法廷スケッチ画。黒いスーツに黒いネクタイを締めている

画像提供, Julia Quenzler

画像説明, リヴァプール刑事法院に出廷したドイル被告の法廷スケッチ画

マージーサイド警察のジェニー・シムズ副本部長は29日の記者会見で、負傷者のうち7人がまだ入院中だと明らかにした。

シムズ副本部長は、捜査員たちが「大量」の防犯カメラや携帯電話の映像を検証していると話した。

被告の起訴について記者会見するハモンド主任検事(左)とシムズ警察副本部長(29日、リヴァプール)

画像提供, PA Media

画像説明, 被告の起訴について記者会見するハモンド主任検事(左)とシムズ警察副本部長(29日、リヴァプール)

マージー・チェシャー地方検察庁のサラ・ハモンド主任検事は記者会見で、大量の証拠には防犯カメラ映像や携帯電話、現場周辺の店舗やドライブレコーダーなどの映像のほか、多数の目撃証言も含まれていると述べた。

捜査の進展と共に罪状の「検討は継続する」と検事は述べ、 「すべての被害者がしかるべき法の下の正義を受けられるようにすることが重要だ」と付け加えた。

事件現場のウォーター・ストリート

画像提供, Reuters

画像説明, 事件以来通行禁止になっていたウォーター・ストリートの封鎖は、28日に解除された

BBCが被告の複数の隣人に話を聞いたところ、隣人たちは口々に、ショックを受けていて「信じられない」と話した。

事件発生から間もなく、被告の自宅がある通りには多くの警官が集まっていたという。

住民の一人は、「月曜の夜遅くに外に出たら、あちこちに警察がいて、通りの家を一つ一つ調べていた。その様子を見て自分は、もしかして彼だったりしないかと思った」のだとBBCに話した。